ロードバイクにおけるコンポーネントのグレードによる違いについて

自分の中では正しいとは思っているけれども、理屈が破綻しているかもしれない。それに、変速機構とブレーキ機構についてのみの言及なので、正しい意味でのコンポーネントとは範囲がちょっと違う。

TL;DR

コンポーネントは想定されている許容範囲を超えた運用をするとシステム障害(チェーン脱落とか)が発生する。ハイグレードになるほど、無茶な使い方に対する許容範囲が広い。 とはいえ、無茶な使い方をしない運用をするのがライダーの責務。

成績を求める必要がない人は、正しく使えるのであれば、SORAでも十分。段数が多い方が適切なギアを選べて楽に走れるという論もあるけれども、ケースバイケースだと僕は思っている。ただ、女性は105の方がいいかも。

コンポーネントのグレードによる違い

違いが分からない

ロードバイクコンポーネントのグレードによって何が違うのかイマイチよく分からない。操作性や変速の心地良さやギアの段数や重さに重きを置いて解説した記事を読んだときは分かった気になる。けれども主観に依らない根拠があるのはギアの段数と重さくらいで、それ以外はその人の体感でしかないからか、理解した実感が湧かない。 とはいえ操作性も変速の心地良さもギアの段数も重さの違いも全て事実だからややこしい。

ブレーキ性能に言及している記事も同じだ。例えば"街乗りするには制動力が物足りない"みたいな書き方をされていて同じように分かった気になるけれども、結局のところよく分からない。というか、ロードバイクって街中でスピードを出す乗り物だっけ?とかとか。

ひとつのシステムとして捉える

コンポーネントの話題が出るたびに悶々としていたけれども、最近になってロードバイクで走るという統合されたシステムにおける信頼性の問題と可用性の問題だということに思い至った。信頼性はともかく可用性という単語はあまり馴染みがないと思うけれども、プログラマ的な定義はだいたいこんな感じだ。

  • 信頼性:システム障害の発生のしにくさ
  • 可用性:システムが正常動作している割合

ちなみにどちらもシステムの品質を構成する要素の一つだ。コンポーネントそのものもロードバイクを構成する一つのサブシステムとして構成されているから、コンポーネント単体のシステムとしての品質ももちろん存在しているけれども、レイヤの違う問題なので考慮には含めていない。

ロードバイクで走ることをマシンとライダーを統合した一つのシステムとして捉えたとき、グレードが高いコンポーネントは信頼性が高いからシステム障害が発生しにくい。とはいえ、システムに障害を発生させずに運用するのはライダーの仕事だ。(なお、コンポーネントそのものの品質は別の問題)

表にまとめるとこんな感じ。

名称 意味 担保する物/人
信頼性 システム障害の発生のしにくさ コンポーネントやタイヤ、フレームなどのマシンを構成する物
可用性 システムが正常動作している割合 操作者(ライダー)

こうやって考えると、ハイレベルなレースになるにつれて無茶な使い方をしなければいけない局面が多くなりそうだし、そういうのに出る人がグレードが高いのを選ぶのは、理にかなっていると思う。(レース出たことないから知らんけど。。)

グレードの低いコンポーネントは変速がモッサリしている

変速中は不安定な状態だから、変速にかかる時間は短ければ短いほどシステムは落ちにくくなる。プログラムは短いほどバグが入り込みにくいのと同じだ。シャコンと気持ちよく変速できるのは、不安定な時間を短くした結果生まれた副作用に過ぎないということなんだろう。

あるべき論で言えば、目的のギアが必要になることを想定して事前に変速を完了していなければならないはず。でもハイグレードの機材はその信頼性の高さから事後でも変速を可能にしてしまう。それに甘えた悪い習慣がダウングレードした時の変速に感じるモッサリ感に対する不満だと思う。

ギア数が多い方が楽に走れる

"グレードの高いコンポーネントは選べるギアの段数が多いからライドが楽だ"という論を良く見かけるけれども、これについて僕は懐疑的だ。少なくとも誰にでも有効な処方ではないと思っている。

確かに乗り慣れている人にとってはちょうど良いギアの選択肢が広がって楽なライドに繋がるのは間違いないだろう。けれども運動が苦手な人やロードバイクに乗り出したばかりの人は、ギアの枚数よりも選択できる幅が広い、いわゆるワイドレシオの方が有効だと思う。
それに、ギアに依存しないでケイデンスでペースを調整するということがおざなりになる気もする。MTBやCX出身者が得意と言われているアレだ。レースしたことないから知らんけど。

じゃあ何を選べばいいの?

コンポーネント選びはお店でワインを選ぶようなものだと思う。自分の好みがまずあって、どういう料理が出てくるのか考えながら組み合わせる。ゲストと相談しながら同じワインを選ぶ場合は、お互いの好みや造詣を持ち寄る。もちろん価格帯も重要だ。そんなこんなを経てどういうワインを飲むかという目的を明確化してからソムリエに相談してワインをオーダーする。
でも、いきなりこんなこと出来る生粋の風流人なんてそうそういない。誰だって、経験を積まないといけない。とはいえ、自分の好みが固まっていなかったり、同伴している彼女を前にしてソムリエに価格帯を伝えるのが恥ずかしい時だってある。そんな時のために、2番目(ちょっと背伸びして3番目)に安いものを選ぶという必殺技がある。「肉料理だから赤ワインの、、、これにしようか」とか言っちゃうとこなれた感じが出る。瓶を見て「ボルドーだね」とか言っちゃうとさらに大人っぽい。(←あとで悶えるので言わない方がいい)

ちょっと話がズレたけれども、ロードバイクに乗りたいってモチベーション以外に目的がなくて、コンポーネントもよく分からないうちは、こんな感じでコンポーネントを選べばいいと思う。シマノ(Tourneyは勘定に入れない場合)だと2番目に安いのはSORAになるかな?ちょっと背伸びしてTiagraあたり。ブレーキの制動力とか気になるかもしれないけれども、ブレーキでタイヤがロックすることを防げるのはメリットとも言えるし、おそらく開発者の方々もそれを企図していると思う。で、レースに出るって明確な目的があるなら105。 ただ握力の弱い人や手の小さい人(特に女性)は、105を選んだ方がいいかもしれない。ブレーキ性能は確かに上がるので握力の小ささをカバーできる。

あ、ちなみに他のメーカーについては使ったことないので分からんす。